菅江真澄の博物学
菅江真澄(1754〔宝暦4〕年〜1829〔文政12〕年)は、江戸時代後期の民俗学者、国文学者、紀行文作者、歌人として有名です。間宮海峡で有名な間宮林蔵より年長ですがほぼ同時代人です。六ヶ所村の歌紀行であるビデオ『真澄の夢』が、平成6年度『新映像フォーラム
in 柏崎』で最優秀作品となったことはご存じの方も多いでしょう(財団法人ハイビジョン普及支援センター主催)。村内随所で、また当研究所でも上映されました。しかしながら、北海道・東北地方踏査の記録である「菅江真澄遊覧記」(全5巻
内田武志・宮本常一編訳、平凡社、1968年)でみてみると、植物(医・薬学)、動物、鉱物(地質・鉱物学、鉱山学)、地理等への強い好奇心による緻密な観察や考察に溢れていて歌人としてというよりも、むしろ博物学者としての面が強く表れています。編訳者の一人宮本は(原著には)和歌が多数に挿入されているが、それらの多くを除き、資料として価値あるところを現代文になおしたと述ペています。つまり、歌人としての真澄をあえて切り捨てることで、博物学者菅江真澄の面目躍如たるものになっています。それではここでタイムトンネルをくぐって、菅江真澄の一行と共に、少し村内を歩いてみることにしましょう。
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