(温泉と火山〜日本の場合)
それでは、火山大国・日本の温泉はどのようにして生まれたのでしょうか。これを解くためには、日本の地下構造に目を向ける必要があります。
日本のような大陸と大洋の境目には、プレートと呼ばれる岩石でできた板のようなものが沈み込んでいます。その付近では、プレートとプレートが擦り合うために摩擦熱のようなものが生じ、マグマが発生して、それが地表付近まで上昇してマグマだまりという火山活動の巣を作ります。日本では、大規模な火山活動は太古の昔に終息しましたが、最高で千数百度にもなる地下のマグマは、まだ完全に冷えきってはいません。マグマは完全に冷えるまでの間、熱や火山性のガスを出し続けます。そして、その熱やガスに地下水が接触したとき、地下水は熱せられ、高圧になり、地下の割れ目を通って地表に向方って上昇してきます。これが温泉になるのです。この温泉水は、マグマに含まれている水(処女水)や他の成分、さらに、周りの岩石の成分を溶かし込んできます。上昇する時に、それぞれが違った割れ目を通ることになると、同じ温泉地なのに源泉ごとに成分が微妙に違ってきます。
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地下深くから湧き出した温泉水を貯蔵するタンク
(六ヶ所温泉)
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火山の山麓から湧き出す温泉
(北海道・知床半島)
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青森県にもたくさんの温泉があります。そして、この中には今までお話ししてきたような火山と関係のある温泉が、もちろん含まれています。恐山などでは、熱い温泉水とくさいガスが地表に出てくる様子を間近で観察することができます。この温泉水やガスが、温泉はどうやってできたのかということのヒントになるのです。科学者たちはこんなヒントをできるだけたくさん集めて新しいことを考えていくのです。でも、温泉につかるときはなにも考えないでボーッとしているのが一番ですね。
(長谷川 英尚)
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