〔TLP観測の歴史〕
TLPは、今から40年前の1958年に旧ソ連の天文台がアルフォンスス(図1)というクレーターを観測していた時に初めて発見されました(参考文献1)。その時は、クレーターの真ん中の丘に霞のようなものが見えました。それ以来、数多くのアマチュア天文家や専門家が月面のいろいろな場所で観測するようになったのですが、これまでTLPが余り大きな話題になったことはありません。その理由の第一は、この現象の発生が不規則なだけでなく、現象の規模自体が小さくて観測しにくかったこと、第二に、月へ行って調査するには大変なお金がかかったり技術的な面での難しさがあったからです。
このような事情でTLPの研究は、はじめは望遠鏡による地球からの観測しか手段がありませんでした。勿論、少数の専門家がある程度の分析は観測で行なってきました。それで、TLPがガスであることが有力となりました。しかし、望遠鏡だけの観測では、観測者の見間違えや誤解、また地球の大気の揺らぎや望遠鏡のレンズの色収差による月面像のぼやけ、そして色の変化などのため、充分信頼できる結論とするには問題がありました。
図1 月面でTLPが頻繁に起こる場所(矢印の先)
図はミニ百科4号掲載の月面写真に加工・加筆しました
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