元素には化学的性質が同じであるにもかかわらず、質量の異なる同位元素という兄弟が存在します。それらを区別するためには元素名に質量数をつけて呼びます。ポロニウムの同位元素は天然に7種類、ラジウムは4種類が知られています。キュリー夫妻が発見したポロニウムは質量数が210のものです。またラジウムはその質量数が226のものです。いくつかの同位元素とともにそれらの性質を表に示しました。半減期については環境研ミニ百科第33号で解説してありますので参考にして下さい。比放射能は1グラムあたりに毎秒いくつの原子核が放射線を出して崩壊するかを示しています。この数値が大きいほど放射能が強いと言います。
ウラン238とラジウム226、ポロニウム210は、ウラン238と親子関係にあり、ウラン系列の一員です。したがってウラン238が含まれている鉱物中には必す子供のラジウムが存在しています。ウランやラジウムは自然界に広く存在し、兵庫県有馬温泉はラジウム温泉として有名です。またラジウムは医療用の放射線源としても広く用いられてきました。
元素名
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元素記号
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質量数
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半減期
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比放射能 (1グラムあたりの放射能)
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ウラン
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U
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238
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44.68億年
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1.24×104
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ラジウム
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Ra
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226
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1600年
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3.7×1010
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ポロニウム
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Po
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210
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138.4日
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1.7×1014
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元素の核・放射線に関するデータ
ラジウム1グラムに相当する放射能量を1キュリーと呼び、長い間、基本の単位として用いられてきましたが、通常使うには大きすぎるので、現在では元素の崩壊1回を基本にして1ベクレルと呼ぶことになっています。1キュリーは37億ベクレルに相当します。いずれも19世紀の最後から20世紀初頭に活躍した2人の偉大な科学者の名前を記念してつけられたものです。
(桜井 直行)
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