ご挨拶
医療や産業における放射線の利用が拡大し、また、平成23年の東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の環境放出などによって、低線量放射線の生体影響や放射性物質の環境動態を正確に把握すること、また、それをやさしいことばで伝えることの重要性がますます高まっています。環境研は、平成2年に、青森県六ヶ所村での核燃料サイクル施設の立地に伴う大型再処理施設放射能影響調査事業を担う研究所として設立されました。環境放射性物質の動態や線量評価、低線量・低線量率放射線の環境・生物に対する影響に関する調査研究を行い、正しい情報を発信すること、そして、その成果が地域住民の安全・安心に資することが期待されています。また、大学の関連研究室の急激な減少に伴い専門家が少なくなっている現状を鑑み、この分野の若手の人材育成も大きな任務です。環境研は、これまで、そのユニークな施設を活用した長期的な研究を進め、国際的にも高い評価を受けています。
元号も新しく「平成」から「令和」になりました。環境研も新しい時代に、自らの強みを基盤とし、本来のミッションを着実に遂行すると共に、さらに一歩学術の香りの高い研究成果をあげることを目指します。研究所が一体となり、研究所の使命を共有し、希望を持ち、新しい研究成果を発信していきます。国内外の関連学協会や研究機関、大学と連携を強くしながら、我が国全体の放射線研究の国際的プレゼンスを高かめていきたいと思います。地球規模で考え、地域社会に貢献する研究所としてその活動をますます推し進めていきたいと思っています。
引き続き、皆様のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。