新着情報

成果報告会、環境研学習会、施設公開、イベントの開催・出展等に関する新着情報です。

2021年度

日付はすべて開催日です。

  2020年度下期 →


リンゴへの炭素の移行実験に関する論文掲載

 Journal of Environmental Radioactivityに当所の環境影響研究部 今田研究員の論文が掲載されました。掲載概要は以下の通りです。


「リンゴ樹の着果当年枝への13CO2ばく露実験と動的炭素移行モデルの作成」

 放射性炭素(以下、14C)は主に二酸化炭素の形で大気中に存在します。二酸化炭素は光合成で作物に取り込まれるため、14Cによる被ばく線量を評価するためには、ヒトが作物を摂取することによる内部被ばくを考慮する必要があります。

 作物の可食部への14Cの蓄積を予測するためには、大気中の14Cが光合成で葉に取り込まれて可食部に移行して蓄積する様子を、大気中14C濃度の変動に応じて的確に評価できるモデルが必要になります。環境研では青森県の代表的な果樹であるリンゴについてのモデルの作成を進めており、本論文では、農研機構果樹茶業研究部門リンゴ研究拠点(盛岡市)から提供を受けた‘ふじ’樹について、リンゴが着果した当年枝(その年に成長した若い枝)を対象として、専用ばく露チャンバーシステム(写真)を用いた野外実験を行い、得られたデータに基づいて、当年枝における移行と蓄積を評価するためのモデルを作成しました。なお、実験では14Cの代わりに炭素の安定同位体である炭素13(以下、13C)で標識した二酸化炭素(13CO2)を用いました。








写真:リンゴが着果した当年枝を透明容器に密閉し、容器内に13CO2を注入して13Cが葉、枝、果実にどの程度移動するのかを調べている様子

 その結果、作成したモデルによって、リンゴが着果した当年枝の果実中の13C濃度を精度良く推定できる様になりました。今後は、本論文で作成した当年枝単位のモデルを、リンゴの樹全体に適用するための検討を進めます。


掲載論文

Shogo Imada, Takashi Tani, Yasuhiro Tako, Yuki Moriya, Shun'ichi Hisamatsu. In situ experimental exposure of fruit-bearing shoots of apple trees to 13CO2 and construction of a dynamic transfer model of carbon
Journal of Environmental Radioactivity,233(2021).


関連ページ

放射性炭素   (外部:排出放射性物質影響調査HP)

安定同位体   (外部:排出放射性物質影響調査HP)

青森県産物放射性物質移行調査(第2期)  (外部:排出放射性物質影響調査HP)


  2020年度下期 →