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福島での放射性セシウムの河川中動態に関する論文が掲載

 Journal of Environmental Radioactivityに当所の環境影響研究部 植田主任研究員の論文が掲載されました。掲載概要は以下の通りです。


「東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウムの10年間の流域から河川への流出パターンについて」

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により、環境中に放射性物質が放出されて10年が経過しました。これら放出された放射性物質のうち、放射性セシウムは地表に沈着した後、一部は陸域から河川を通して流出することになります。これまで、福島県飯舘村の小河川を対象に、事故当年から2021年にかけて、流域から河川を通して流出する放射性セシウム(セシウム134、セシウム137)の変動について調査を行ってきました。今回は、放射性セシウムによって汚染された集水域から河川への長期的な流出の変化を定量化することを目的に行った成果について報告を行いました。

 調査の結果、事故により流域内に沈着したセシウム137は、10年間にわたって徐々に河川から流出しましたが、多くは集水域に留まっていることが明らかになりました。今後、河川から流出されるセシウム137が減少し続けると予想されるため、陸から海へのセシウム137の流出は将来的に限定的であると判断されます。

 本報告は、当該事故で放出された放射性セシウムの河川を通じた長期的な流出に関する傾向を示した最初の報告となり、六ヶ所村の大型再処理施設から排出が予想される放射性物質の流域における動きを評価する際、有用な情報として活用されることが期待されます。


掲載論文

Shinji Ueda, Hidenao Hasegawa, Yoshihito Ohtsuka, Shinya Ochiai, Takashi Tani. Ten-year radiocesium fluvial discharge patterns from watersheds contaminated by the Fukushima nuclear power plant accident.
Journal of Environmental Radioactivity (2021) DOI: 10.1016/j.jenvrad.2021.106759


関連ページ

集水域に降下した放射性セシウムの川への流れ出し (外部:排出放射性物質影響調査HP)

放射性セシウム                 (外部:排出放射性物質影響調査HP)


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