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リンゴの炭素蓄積に関する論文が掲載

 Tree Physiologyに当所のトリチウム研究センターの今田研究員の論文が掲載されました。掲載概要は以下の通りです。


「リンゴ幼木に光合成で固定された炭素の貯蔵と、翌年の新生器官の発達・成長への寄与について」

 リンゴ幼木を対象として、実験施設内で炭素の安定同位体である炭素13を含む二酸化炭素(13CO2)のばく露を生育期間中の時期別に行い、生育終期の各部位とその翌年に新たに発生する器官(新生器官)の炭素13濃度を測定することで、どの時期に同化された炭素が枝や幹、根(貯蔵器官)に蓄えられやすいのか、どの時期に蓄えられた同化炭素が翌年の新生器官の発達に利用されやすいのか、また、貯蔵炭素が翌年の花及び果実にどの程度残存するのか、を評価した調査研究について報告したものです。

 本研究より、生育期間のどの時期に同化された場合も同化炭素が貯蔵器官に蓄えられること、特に、枝葉の成長が盛んな時期に同化炭素が蓄えられやすいことが明らかとなりました(図1a)。また、この枝葉の成長旺盛期に同化された炭素が、新生器官の初期発達に利用されやすいことも明らかとなりました(図1b)。

 前年に貯蔵された炭素は翌年の花中に存在しますが、果実の発達・成長に伴い指数関数的に濃度が減少し、7月には天然レベルまで低下するという結果が得られました(図2)。この結果は、リンゴにおいて、光合成により固定されて貯蔵器官に蓄えられる(放射性)炭素が、翌年の収穫時の果実には殆ど移動しないことを示唆しています。


掲載論文

Shogo Imada, Yasuhiro Tako. Seasonal accumulation of photoassimilated carbon relates to growth rate and use for new aboveground organs of young apple trees in following spring. (2022)
DOI: 10.1093/treephys/tpac072/6633193


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