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ダイコンの炭素蓄積に関する論文が掲載

 Journal of Nuclear Science and Technology に当所の環境影響研究部の谷副主任研究員の論文が掲載されました。掲載概要は以下の通りです。


「ダイコン中放射性炭素(14C)濃度を推定するための炭素蓄積モデルの構築」

 大型再処理施設から排出される放射性炭素(14C)は、主に放射性炭素から成る二酸化炭素(14CO2)として大気中に存在します。作物では、光合成の二酸化炭素(CO2)固定反応によって大気から14Cが取り込まれ、その一部が呼吸により再び大気に出ていきます。作物の14C濃度を推定するためには、まず光合成と呼吸を計算し、それらの差から炭素蓄積量を求める必要があります。本論文は、ダイコンの光合成と呼吸を計算し、実生出現後から収穫までの葉と根の炭素蓄積量を再現できるモデルを報告したものです。

 本研究により、まず葉に炭素が多く蓄積し、遅れて根に炭素が蓄積していくというダイコンの成長を再現できるモデルが構築できました(図1)。モデル推定結果の細かい変動は、光合成及び呼吸速度に影響する日射量や温度の変動によるものです。

 モデルを構築すると、ダイコンの葉と根の14C濃度を計算できるようになります。光合成量がほぼ等しい播種(種まき)後34日と66日のどちらか1日だけ、14CO2を取込ませるシミュレーションを行いました(図2)。14CO2を取込ませた日の14C濃度は、葉と根の両方が盛んに成長している播種後34日の方で高くなりました。一方、播種後66日に14CO2を取込ませると、収穫日(播種後76日)までの時間が短いために呼吸による14Cの消失量が少なくなり、14C濃度が下がりにくくなることが分かりました。

図

掲載論文

Takashi Tani, Yuhi Satoh. Development of a carbon accumulation model for estimating the concentration of 14C in Japanese radish plants. (2022)
DOI: 10.1080/00223131.2022.2123407


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