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海草(アマモ)炭素の海水への残存性に関する論文が掲載

 Marine Environmental Researchに当所の環境影響研究部の佐藤研究員の論文が掲載されました。掲載概要は以下の通りです。


「有機物の構成成分が海水中における海草(アマモ)の炭素の残存性を規定する」

 日本を含む世界の海洋沿岸域に広く生息するアマモは、大気中の二酸化炭素(CO2)の炭素を光合成によって体内に固定します。この炭素固定は大気のCO2濃度増加に対する緩衝作用として働くため、近年の気候変動問題に関連して、アマモを介した炭素動態が注目されています。また、六ヶ所村にある大型再処理施設に隣接し、当所が調査対象としている尾駮沼においても重要な海草の一つです。

 アマモに固定された炭素は、一部が微生物(バクテリア)による分解によってCO2へ戻る一方で、残りは堆積物や深海へと輸送され、海洋環境中への炭素隔離に寄与します。本研究ではアマモ中の炭素が微生物分解過程を経て海水中に残存する際に、その残存量を決めている要因(分解を簡単or難しくする成分)が何か、ということについて調査を行いました。その結果、アマモの炭素の残存性は、アマモ中の炭素、炭水化物および脂質の各濃度によって、ある程度の予測が可能であることが明らかになりました。

 本研究成果は、気候変動問題や尾駮沼における放射性物質の動態の理解に有用な情報となることが期待されます。


掲載論文

Yuhi Satoh, Wada Shigeki. Organic matter composition regulates residual potential of organic carbon of the seagrass Zostera marina L. during its decomposition process in seawater.(2022)
https://doi.org/10.1016/j.marenvres.2022.105790


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