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植物プランクトンの有機結合型トリチウム生成に関する論文が Water Research に掲載されました


「植物プランクトンOBT生産速度の推定のための懸濁態有機水素(POH)生産速度の評価」

 東京電力福島第一原子力発電所から排出される処理水に含まれるトリチウムは水(トリチウム水)として存在しますが、これが沿岸海域に生息する植物プランクトンによって有機結合型トリチウム(OBT)に変化する過程は良くわかっていません。本論文は、福島沿岸域における植物プランクトンによるOBTの生産速度を推定するために、植物プランクトンによる有機結合型トリチウム(OBT)の生産速度について、室内及び実際の自然海域における培養実験から得られた懸濁態有機水素(POH)の生産速度を基に推定した結果を報告したものです。

 室内実験では、東北地方沿岸で一般的に生息している珪藻や緑藻などの植物プランクトン種について、種類及び水温の違いによる生産速度の差を評価しました。六ヶ所村沿岸を用いた自然海域における実験では、実際の現場環境における生産速度をいくつかの季節及び水深において評価しました。これらの実験結果と福島沿岸域における先行研究データを合わせて推定した結果、福島沿岸海水中において水中のトリチウムが植物プランクトンへOBTとして移行する割合は、1日あたり0.00005〜0.0005%と、非常に少ないことが示唆されました。これらのことから、海水-植物プランクトン-魚類等を介したトリチウムの移行や蓄積は無視できる程度に小さいと考えられます。

培養実験の様子 自然海域における培養システム引き上げの様子



掲載論文

Yuhi Satoh, Yuko Omori. Evaluating production rates of particulate organic hydrogen by marine phytoplankton for estimating phytoplanktonic productivity of organically bound tritium. (2023)
https://doi.org/10.1016/j.watres.2023.120592


関連ページ

トリチウム      (外部:排出放射性物質影響調査HP)


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