新着情報

成果報告会、環境研学習会、施設公開、イベントの開催・出展等に関する新着情報です。

2024年度

 

   2023年度下期 →


ヒラメへのトリチウム蓄積・移行に関する論文が国際学術誌 Environmental Research に掲載されました

 Environmental Research に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、谷研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。


「福島第一原子力発電所の処理水に曝されたことを想定した場合におけるヒラメへのトリチウムの蓄積量の推定 〜海水および食物連鎖の各経路を考慮したヒラメ中の有機結合型トリチウムへの移行〜」

 トリチウム(3H)が含まれる福島第一原子力発電所の処理水に関しては、世界的にも厳しい基準の下(1500ベクレル/L以下、WHOが定める飲料水の基準値の約7分の1)、海洋放出が行われています。また、これまでに行われた放出では、海洋放出口直近においても10ベクレル/Lを超過する濃度はほぼ確認されておらず、安全性が担保されていると考えられています。

 一方、これまで海水中の濃度に関する情報は提示されていますが、魚に関してはあまり示されていません。海水中の濃度が相当に低いことから魚に関しても蓄積量は微量であると予想できますが、安全性を十分に担保するため、本研究では処理水にヒラメが曝されたことを想定し、海水からヒラメへのトリチウムの移行に関して、コンピューターシミュレーションを用いた蓄積量の推定を行いました(下図)。

 その結果、ヒラメへのトリチウムの蓄積には食物連鎖よりも海水中からの直接的移行が最も大きく影響することが示されました。また、この結果を基に、1500ベクレル/Lのトリチウム濃度を含む海水に1年間曝されたヒラメを定常的(1日当たり190 gを想定)に食べた場合に受ける被ばく線量を推定したところ、図に示す有機結合型以外の化学形態を含めて、年間2マイクロシーベルト未満と見積もられ、これは公衆安全基準である年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)と比較して非常に低い値でした。

図

掲載論文

Yuhi Satoh, Takashi Tani. Estimation of accumulation potential for tritium in olive flounder on exposure of treated water derived from Fukushima Daiichi Nuclear Power Station: Tritium transfer from seawater and food chain into organically bound tritium in the targeted fish (2024)
https://doi.org/10.1016/j.envres.2024.119278


関連ページ

トリチウム                  (外部:排出放射性物質影響調査HP)

環境研に聞いてみよう!トリチウムってなあに? (外部:排出放射性物質影響調査HP)


 2023年度下期 →