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2024年度

 

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炭素14とトリチウムの線量係数について検討を行った論文が国際学術誌 Journal of Radiological Protection に掲載されました

 当所のトリチウム研究センターの増田主任研究員は日本原子力研究開発機構(JAEA)の真辺研究主幹とともに Journal of Radiological Protection に下記論文を発表しました。概要は以下の通りです。


「国際放射線防護委員会(ICRP)による炭素14及びトリチウムの体内動態モデル改訂版の公衆への適用の妥当性を検討する」

 現在ICRPでは公衆のための線量係数(単位摂取量(1ベクレル)から受ける総線量(シーベルト)を求めるための係数(シーベルト/ベクレル))の改訂作業を進めており、炭素14やトリチウム(水素3)については新しい体内動態モデルの適用が予定されています。昨年には改訂原稿の草稿が公開され、ICRPから世界の放射線安全研究者等に対して草稿への意見を求められました。

 環境科学技術研究所では、被験者に炭素14の代わりとなる炭素13やトリチウムの代わりとなる重水素(水素2)を含む食品(コメやダイズ等)や栄養素構成成分(アミノ酸、糖、及び脂肪酸)を食べていただき、それらの呼気、尿、及び毛髪への排泄を測定することによって、炭素14やトリチウムの体内動態を推定するデータを多く蓄積しています。その研究成果を用いて、本論文では公衆へ適用する線量係数を求める際に用いられるICRPの新しい体内動態モデルについて検討するとともに、それを用いて計算される線量係数の妥当性を検証しました。その結果、炭素14については環境研での実験結果からの線量推定と比較してICRPは線量をかなり過大に評価しているため線量係数が大きくなっており(安全を守る面からは実際よりも大きめに評価しておくのは問題ありません)、トリチウムについては環境研での実験結果とよく合った適切な線量係数の値となっていることが分かりました。


掲載論文

Tsuyoshi Masuda and Kentaro Manabe. Validating the application of the revised ICRP’s biokinetic models for organic 14C and organically bound tritium to members of the public (2024)
https://doi.org/10.1088/1361-6498/ad7a04


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