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2025年度
飼育温度がヒラメ中のアミノ酸の含有量に与える影響に関する論文が国際学術誌 Fisheries Science に掲載されました
Fisheries Science に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、石川研究員、谷研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。
「温暖な水温下の飼育によりヒラメ中においてアミノ酸の1種であるリジンとオルニチンが増強される」
本研究では、水温の変化がヒラメ中のアミノ酸の組成及び含有量に与える影響について調査を行いました。日齢 160日のヒラメを各水温( 7、10、15、20、23 ℃)で数か月間にわたって飼育し、筋肉中のアミノ酸組成及び含有量の変化を観察しました。 その結果、アミノ酸中のリジンとオルニチンにおいて、より高温条件で飼育の進行に伴う含有量の増加速度が高くなる傾向が確認されました。これは、温暖な水温下での飼育が、ヒラメ中のリジンとオルニチンの含有量を増加させる可能性を示唆しています。
リジンは、多くの植物性食品においてタンパク質の利用性を制御する制限アミノ酸であり、同アミノ酸の摂取は植物性タンパク質の利用性を向上させます。また、正常な免疫機能の保持や創傷の回復に有用です。オルニチンは、体内におけるアンモニアの除去に働き、疲労の軽減に有用です。加えて、睡眠効率の改善に働くことも報告されています。
本研究の成果は、魚類中における有機物に関連した放射性炭素等の放射性核種の動態解析に有用な知見となることに加えて、水産養殖等において生産される水産物の付加価値の創生に貢献する可能性があります。
掲載論文
Yuhi Satoh, Yoshio Ishikawa, Takashi Tani. Warm?temperature rearing potentially increases the lysine and ornithine content in the Japanese founder Paralichthys olivaceus (2025)
https://doi.org/10.1007/s12562-025-01882-6