新着情報
成果報告会、環境研学習会、施設公開、イベントの開催・出展等に関する新着情報です。
2025年度
六ヶ所村尾駮沼の堆積物中のヨウ素に関する論文が国際学術誌 Science of the Total Environment に掲載されました
Science of the Total Environment に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、植田研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。
「原子力施設近傍の汽水湖における表層堆積物中の安定ヨウ素(ヨウ素127)および放射性ヨウ素(ヨウ素129)の濃度」
本研究では、六ヶ所村にある再処理工場に隣接する尾駮沼を対象領域として、沼底堆積物表層における安定及び放射性ヨウ素の各濃度をコントロールする要因ついての調査結果を報告しました。
一般的に水流の穏やかな海底の堆積物においては、@粒子の供給、A堆積物中の有機物への水中溶存ヨウ素の吸着、の2つの主要経路でヨウ素濃度がコントロールされています。一方で、本研究の対象領域のように流動性の高い水域での検証は十分になされていませんでした。本研究では、対象領域で、河川粒子、植物プランクトン粒子、表層堆積物粒子、沼水中の沈降粒子、及び沼中の水を採取し、ヨウ素や各種元素等を分析して、それらのデータの特徴から尾駮沼の沼底表層堆積物における安定及び放射性ヨウ素の各濃度が、どのような要因で決定するかを解析しました。その結果、これらのヨウ素濃度は、ヨウ素を保持している各種粒子の収支で主にコントロールされ、水中に溶存しているヨウ素の新たな吸着の影響は小さいことが明らかとなりました(下図)。また、これらに加えて、水深や河口からの距離といった地形学的要因も、補助的に堆積物中のヨウ素濃度をコントロールすることが示唆されました。本研究の成果は、再処理施設から排出される放射性ヨウ素の環境動態の把握にとって重要な知見となります。
![]() |
図. 尾駮沼の沼底堆積物表層におけるヨウ素濃度の制御要因 |
掲載論文
Yuhi Satoh, Shinji Ueda. Stable (127I) and radioactive (129I) iodine concentrations in surface sediments of brackish lake near nuclear facility (2025)
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2025.180418
関連ページ
放射性ヨウ素とヨウ素剤投与 (ミニ百科63号)
ヨウ素 (外部:排出放射性物質影響調査HP)