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2026年度
リンゴ樹の貯蔵炭素利用に関する論文が国際学術誌 Tree Physiology に掲載されました
当所の環境影響研究部の今田副主任研究員、谷副主任研究員が、Tree Physiology に下記論文を発表しました。論文の概要は以下の通りです。
「リンゴの若木と成木は、何年前にためた炭素を発芽や花の発達に利用しているのか」
リンゴは、秋に葉を落とし、春に新しい葉をつける落葉樹です。落葉樹は、成長期に養分をため、この養分を発芽や花の発達に利用します。しかし、実際に何年前にためた養分(炭素)を利用しているのかについてはあまり良くわかっていませんでした。そこで、本研究では、炭素の安定同位体(放射線を出さない)である13C(炭素13)を用いて、何年前に取り込まれた炭素がどれくらい新しい器官に残るのかを調べる実験を行いました。
実験では、13Cを含む二酸化炭素(13CO2)をリンゴの若木と成木に光合成によって取り込ませ(図1)、その後の数年間にわたり毎年春に新しくできる芽や花を採取し、それらの13Cの濃度を測定しました。その結果、新しくできる芽や花の中の13Cは、1年後から2年後にかけて大きく減少しましたが、数年後にもわずかに検出されました(図2)。また、その年変化は、若木と成木との間で大きく変わりませんでした。これらの結果から、リンゴの木は、主に1年前にためた炭素を新しい器官の発達に利用していることが確認され、若木と成木とで貯蔵炭素の使い方が同様であることが示唆されました。
これまでの著者らの研究では、リンゴの若木が2年前と比べ1年前にためた炭素を発芽や花の発達に使っていることが分かっていました。本研究から、3年以上前にためた炭素もわずかではあるが発芽や花の発達のために使われること、また、リンゴの木が大きくなっても、植物体内にためた炭素の使い方が大きく変わらないことが分かってきました。
この研究は、再処理工場から排出される放射性炭素(14C)の果樹における動きを予測するために役立つことに加えて、リンゴの栽培管理において有用な知見を提供するものと考えられます。
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| 図1. リンゴの若木(a)と成木に13Cを含む二酸化炭素を取り込ませる実験の様子(b) |
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図2. リンゴの若木(a)と成木(b)における頂芽および花芽の13Cの濃度の年変化 縦軸は対数目盛で示している |
掲載論文
Shogo Imada, Takashi Tani, Yuki Moriya. Yearly changes in the use of stored carbon to develop new aboveground organs of young and mature apple trees. (2026)
https://doi.org/10.1093/treephys/tpag028
関連ページ
炭素13 (外部:排出放射性物質影響調査HP)
放射性炭素 (外部:排出放射性物質影響調査HP)









