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2026年度
トリチウム研究センターの森脇研究員が Journal of Radiation Research に論文を発表しました
当所のトリチウム研究センターの森脇研究員は Journal of Radiation Research に下記論文を発表しました。概要は以下の通りです。
「放射線が SQSTM1 依存凝集タンパク質分解経路とERファジーを誘導することをオートファジー活性の定量解析によって明らかにした」
放射線はDNAに傷をつけ突然変異を引き起こすことが知られています。こうした突然変異は発がんの原因になると考えられており、世界中で研究が進められています。一方で細胞の中のDNA以外の物質に対する放射線の影響についてはこれまでに詳細な解析を行った研究がなく、その生物学的意義は未解明でした。今回オートファジーと呼ばれる細胞内の傷ついた細胞内小器官や異常なタンパク質を分解する機構を解析することにより、放射線が細胞内のタンパク質に及ぼす影響を捉えることができました。
本研究ではヒトの網膜組織由来の培養細胞 hTERT/RPE-1 を用いて、放射線照射後の Autophagic Flux (オートファジーが物質を分解する速度)を解析しました。放射線照射はオートファジーにおいては全体として大きな変化はもたらしませんでしたが、SQSTM1 依存経路と呼ばれる凝集タンパク質を特定期に分解する経路でのみ有意な誘導が見られました。凝集タンパク質の蓄積はERストレスと呼ばれる、細胞内のタンパク質の品質管理への負荷を引き起こします。ERストレスの負荷により機能に異常を生じた小胞体はERファジーと呼ばれるオートファジーの機構の一つにより分解を受けます。本研究では放射線照射による SQSTM1 依存経路の活性だけでなく、ERファジーの活性化も観察されており、放射線がDNAだけでなくタンパク質にも損傷を与え、ERストレスを誘導していることが示唆されました。以上の結果は、放射線がタンパク質に影響を及ぼすことを実験的に示したもので、放射線が突然変異や発がん以外にも様々な生物影響及ぼすことを示唆しており、より包括的な影響評価の必要性を示しています。
掲載論文
Takahito Moriwaki, Tsuyoshi Masuda. Quantitative analysis of autophagic flux reveals radiation-induced activation of SQSTM1-mediated degradation of protein aggregates and ER-phagy. (2026)
https://doi.org/10.1093/jrr/rrag025









