イメージングプレート(ImagingPlate)

イメージングプレートで見よう放射線の世界


何の変哲も無い白い板・・・、
実は、放射線のメッセージが隠れているんです。


身近なものに含まれる放射性物質の世界を、イメージングプレートを使って紹介します。

これまでの測定結果
マントル タバコ・食塩・昆布‥ ウランガラス
蛍光塗料付置時計 クローバー 肥料
乾燥こんぶ(1) 御影石 天然塩
乾燥こんぶ(2) 湯の花 いろいろな岩石
煮干 干し椎茸
水芭蕉 水仙 ヘデラ(アイビー)
フキ ジャガイモ ほうれん草

イメージングプレートとは?

デジタル化の波が、私たちの生活に打ち寄せています。デジタル化の利点は、この瞬間の情報をデジタル信号として記録し、遠い将来まで、劣化することなく残すことができることです。また、情報を遠く離れた場所へ、瞬時に送ることも出来ます。

これまで、レントゲン写真が主であった医療画像診断の世界にも、X線CT、MRIなどデジタル化の波が打ち寄せています。イメージングプレートは、レントゲン写真に代わる新しい医療デジタルX線画像システム(コンピューテッドラジオグラフィー)の実現に欠かせないものとして期待されています。

イメージングプレートは、従来のレントゲン写真に比べ、放射線に対する感度がけた違いに高いので、撮影時のX線被ばくを低減出来ます。さらに、繰り返し使用できる点も、特徴でしょう。 医療だけでなく、理学・工学の分野でも、イメージングプレートの利用が進められています。近い将来、放射線のメッセージが隠された何の変哲も無い白い板を見る機会が、皆様にも訪れるでしょう。

イメージングプレートのしくみ

放射線は、エネルギーを持っています。イメージングプレートを構成する光輝尽性蛍光体が、放射線からエネルギーを貰うと、ユニークな振る舞いをします。その様子を、蛍光くん(光輝尽性蛍光体)の山登りを例に、説明しましょう。



『これから登る山を、見つめる蛍光くん。麓は、地面が平らで、蛍光くんにとっては、居心地の良い場所です(基底(安定)状態)。

さあ、山登り開始です。山登りにはエネルギーが必要です。蛍光くんにとって、山登りに必要なエネルギーは、”放射線”! 蛍光くんは、放射線からエネルギーを受け取って、見事、山の中腹までたどり着き、チョット一休み。でも、中腹は、麓に比べると安定な場所ではありません(準安定状態)。はやく、山頂を目指さなくては!!

しかし、この先が大変。山頂にたどり着くには、赤い光のエネルギーが必要なんです。さあ、赤い光を体全体で受け、いざ山頂へ。

ところが、とんがり屋根のような山頂。バランスを崩した蛍光くんは、山頂から転げ落ちてしまいました。青い光を放ちながら・・・。』

蛍光くんに与えた放射線と赤い光、そして、蛍光くんが山頂から転げ落ちるときに放った青い光は、イメージングプレートの特徴的な性質です。

放射線が飛び込んだ場所の光輝尽性蛍光体は準安定状態となります。つまり、たくさんの放射線が飛び込んだ場所には、たくさんの準安定状態が存在します。これは、カメラでいう露光に相当します。

次に、カメラでいう現像に相当する読み取りです。読み取りには、バイオイメージングアナライザーという装置(下写真)を使い、イメージングプレートに赤い光を当てます。準安定状態にある光輝尽性蛍光体は、その状態から開放されるとともに、青い光を放って、基底(安定)状態に戻ります。この青い光を測定することで、放射線が飛び込んだ場所、つまり、物質に含まれる放射性物質の分布の2次元情報がデジタルデータとして得られます。

 

自然界の放射線の影響を遮断

宇宙から、大地から、放射線は私たちの周りを飛び交っています。
身近なものから出るごく少量の放射線を検出するためには、外部の放射線を遮断(遮へい)する厚い鉛箱の中で、イメージングプレートと試料を数日から1ヶ月程度、保管(露光)しなければなりません。
気長に更新をお待ちください。