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4.排出トリチウムの生物体移行に関する調査研究

 大型再処理施設から排出されるトリチウム(T)による実証的な被ばく線量評価に資するため、トリチウムの代わりに同じ水素の安定同位体である重水素(D)を用いて大気−作物間、海水−海産生物間でのトリチウムの移行、生物体内での有機結合型トリチウム(OBT)の蓄積、及び人体内でのトリチウム代謝に関するデータを収集する。

4.1 大気排出トリチウムの大気−植物移行パラメータに関する調査研究

 大気−植物間の自由水型トリチウム(FWT)の移行パラメータ、植物体内でのFWTから有機結合型トリチウム(OBT)への移行・蓄積パラメータを実験的に求める。
 平成22年度は、経根吸収による葉菜へのトリチウム移行をモデル化するため、葉菜(コマツナ)に重水(D2O)を添加した養液を供給し、植物体中のFWD濃度の時間変化を求めた。また、作物の各生育段階における光合成・呼吸活性、OBD生成量、収穫時のOBD残存率のデータを収集するための実験系を構築した。

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4.1 大気排出トリチウムの大気-植物移行パラメータに関する調査研究(193KB)

4.2 海洋排出トリチウムの移行パラメータに関する調査研究

 トリチウムの海産生物への移行・蓄積に関するパラメータ、特に海産生物におけるOBTへの移行・蓄積に関するパラメータを評価するための基礎データを、室内実験により収集する。
 平成22年度は、重水を添加した海水中で、生産者及び一次消費者にあたる海産生物(海藻、植物プランクトン、動物プランクトン、底生動物等)を長期飼育し、生体内に形成されたOBDを経時的に測定することにより、食物連鎖を介さない交換型及び非交換型OBTの蓄積に関するパラメータを求めた。また、重水素で標識した植物プランクトンや海藻等の培養方法や、動物プランクトンに重水素標識植物プランクトンを給餌・飼育する手法等を検討し、食物連鎖に伴うOBTの海産生物への移行・蓄積に関するパラメータを評価するための実験系を構築した。

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4.2 海洋排出トリチウムの移行パラメータに関する調査研究(212KB)

4.3 ヒト体内におけるトリチウム代謝に関する調査研究

 ヒト被験者へ重水素(D)標識物質を経口投与し、重水素の人体内残留量に関するデータを収集するとともに、ラットを用いた動物実験により重水素の特定臓器・組織への蓄積の有無や成長段階による水素代謝の違い等を調べ、経口摂取されたトリチウムの線量換算係数の基礎である人体内トリチウム代謝モデルに反映する。
 平成22年度は、重水(D2O)及び重水素(D)標識糖質を経口摂取したヒト被験者の呼気、尿、血液中のD同位体比を1週間程度にわたって測定し、短期的なD排出に関するデータを収集した。また、週齢の異なるラットを用いて、代謝モデル構築に必要な水素フローデータを求めるとともに、重水摂取後の各臓器・器官・組織における重水素(D)の残留率データを収集した。

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4.3 ヒト体内におけるトリチウム代謝に関する調査研究(222KB)

5.排出放射性炭素の蓄積評価に関する調査研究

 大型施設周辺地域における土地区分として代表的な森林、牧草地、水田、畑地及び湿地を対象に、施設から排出される炭素-14(14C)の植物体や土壌への蓄積・放出を推定・評価できる予測モデルを整備し、大型再処理施設稼動に伴う中長期の影響評価(環境への蓄積等)に資する。
 平成22年度は、森林について2つの代表的な樹林(常緑針葉樹林と落葉広葉樹林)の野外調査地を選定し、種構成や種別の生育密度、土壌の有機物含有量、栄養塩含量等の基礎情報を収集するとともに、周辺環境での気象観測を行った。また、森林及び湿地における中長期的な有機物分解速度を求める試験を行うため、閉鎖系施設等において13CO2に植物体をばく露して13C標識植物体を作成した。一方、牧草地、水田、および畑地については、各土壌を採取し、閉鎖系植物実験施設内に導入して植物−土壌試験系を構築し、野外条件を模擬するための予備試験を行った。さらに、土壌中有機物分解に対する地温の影響に関する文献等の情報を基に、森林、牧草地、水田、畑地及び湿地の各土壌を用いる有機物分解試験において制御すべき実験条件(温度や水分等)や実験系の構成を確定し、データ解析法について検討した。

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5.1 森林における炭素循環・蓄積に関する調査研究(207KB)
5.2 耕地における炭素移行・蓄積に関する調査研究(524KB)

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