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1.3 陸圏における放射性物質蓄積評価に関する調査研究

大型再処理施設の稼動に伴い排出される14Cの土壌への蓄積性を評価するため、施設周辺に広く分布するクロマツ林におけるモデルを構築するとともに、排出量の多い3Hについて、各種環境(クロマツ林、牧草地等)での土壌への蓄積モデルを構築する。

平成28年度は、平成27年度に造成した牧草地で降水の土壌内下方浸透に関する水文学的データ及び牧草の生長データを取得した。また、牧草のポット栽培実験により、刈り取り後に再生する茎葉への貯蔵有機物の寄与を明らかにした。クロマツ林では有機物生成量及びリター供給量を求めるためのデータ、並びに降水の土壌内下方浸透に関する水文学的データの取得を継続するとともに、リターの分解パラメータを求めるための調査を開始した。

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1.3 陸圏における放射性物質蓄積評価に関する調査研究(276KB)

1.4 人体内における放射性炭素・トリチウム代謝に関する調査研究

大型再処理施設から排出される14C及び3Hによる被ばく線量をより現実的に評価することを目的として、13Cで標識した多種の脂質及びアミノ酸等の投与実験を行い、精度の高い14C代謝モデルを作成するとともに、水の代謝モデルと組み合わせて3H代謝モデルを構築する。

平成28年度は、脂質では13C標識オレイン酸及びパルミトレイン酸(1価不飽和脂肪酸)を、アミノ酸では代謝が遅いコラーゲンの主成分である13C標識グリシンを被験者に経口投与し、呼気中13C濃度を測定した。また、平成27年度の13C標識リノール酸(多価不飽和脂肪酸)及び13C標識グルタミン酸(主要アミノ酸)の経口投与実験で得られた毛髪試料の13C濃度を測定して炭素の有機態での排泄データを取得し、平成27年度の呼気排出データとともに用いて、リノール酸及びグルタミン酸中炭素の代謝モデルを作成した。

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1.4 人体内における放射性炭素・トリチウム代謝に関する調査研究(296KB)

1.5 樹木の被ばく線量評価法の開発に関する調査研究

大型再処理施設周辺には放射線感受性が高いとされるクロマツが広く分布している。そこで、クロマツの被ばく線量率を計算する手法を開発し、その手法を用いて自然被ばく線量率を求めるとともに、大気排出される放射性ヨウ素によるクロマツの被ばく線量評価に必要なパラメータを安定ヨウ素により求める。

平成28年度は、クロマツ林調査区を設定し、クロマツ地上部の部位別形状、重量及び安定元素濃度等の予備調査、並びに林内の環境γ線線量率の水平分布の調査を行った。さらに、調査区内等においてヨウ素の大気からクロマツへの沈着速度等を求める手法を確立し、加えて、リターフォールによる樹木から土壌へのヨウ素移行量を調査した。

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1.5 樹木の被ばく線量評価法の開発に関する調査研究(313KB)

1.6 放射性物質の移行低減化に関する調査研究

大型再処理施設周辺の重要な作物である牧草を対象として、青森県の土壌で栽培した場合の放射性セシウムの移行に影響を及ぼす土壌要因を明らかにし、要因に応じた施肥や吸着資材等による移行低減化手法の検証を行う。さらに、青森県の主要農産物の一つであるイネを対象として、玄米へのセシウムの転流を植物成長調節物質や化学物質によって制御する手法を確立する。

平成28年度は、土壌中放射性セシウムの牧草への移行性及びそれに影響を与える土壌要因を評価するための実験手法、並びに土壌・資材への吸着特性及び有機物に収着した放射性セシウムの脱離に関わる微生物特性を評価する手法を確立した。さらに、水耕栽培のイネに対して蒸散抑制剤を継続的に散布したところ、玄米中のセシウム濃度が25%〜35%低下することが明らかになった。

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1.6 放射性物質の移行低減化に関する調査研究(392KB)

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