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2025年度
植物中の有機結合型トリチウムに関する論文が国際学術誌 Journal of Environmental Management に掲載されました
Journal of Environmental Management に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、今田研究員、永井研究員、山上研究員、谷研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。
「植物中への有機結合型トリチウム(OBT)の蓄積効率の制御要因:植物有機物の炭素/水素比を利用した調査」
環境中のトリチウムの一部は植物に取り込まれて有機物の形態(有機結合型トリチウム(OBT))になります。この量を予測することは環境中でのトリチウムの動きやトリチウムによる人の被ばく線量を評価するために重要です。
本研究は、炭素/水素比(C/H比)を利用し、4種類の植物(クロマツ、イネ、コマツナおよび牧草)を対象としてOBTの蓄積効率の違いを調査しました。この際、植物中の各部位におけるC/H比の季節変化を観測すると共に、一部の植物種については、光や水利用性の影響を調査しました。なお、C/H比はOBTの蓄積効率の指標であり、この比が高い場合、OBTの蓄積効率は低くなります。
本調査の結果、植物の部位に関しては、全植物種において根のC/H比が比較的高い傾向にあり、このことから根はOBTの蓄積効率が低い部位であることが示唆されました。植物種に関しては、クロマツのC/H比がその他の植物種に比べて高い傾向にあり、このことから木本植物のOBT蓄積効率は草本植物よりも低い可能性が示唆されました。季節変化に関しては、植物の部位および種によらず、C/H比の季節変化の変動係数(標準偏差/平均値)は5%以内であり、OBTの蓄積効率の季節変化はあまり大きくないことが示唆されました。また、光や水の条件は植物へのOBTの蓄積効率に大きく影響しない可能性が示されました。
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実験結果の概要図 |
掲載論文
Yuhi Satoh, Shogo Imada, Masaru Nagai, Mutsumi Yamagami, Takashi Tani.
Factors regulating the accumulation efficiency of organically bound tritium in plants across species, parts, and environmental conditions: Investigation using the C/H ratio in plant organic matter (2025)
https://doi.org/10.1016/j.jenvman.2025.125168