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六ヶ所沿岸の堆積物中の放射性核種に関する論文が国際学術誌 Journal of Environmental Management に掲載されました

 Journal of Environmental Management に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、今田研究員、大塚研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。


「日本の東北部に位置する六ヶ所村の太平洋沿岸における堆積物中放射性物質の分布傾向の規定要因」

 六ヶ所村に建設されている大型再処理施設が本格操業した際には、管理された量の各種の放射性物質が環境中に放出されます。この放出が環境中の放射性核種の濃度水準をどの程度変化させるのかを把握するためには、自然状態における環境中の放射性物質の濃度水準とそれを左右している要因を事前に理解しておく必要があります。

 本論文は、六ヶ所沿岸沖合30kmまでの領域で採取した堆積物(図1)について、各種の放射性物質(炭素14, カリウム40, ヨウ素129,セシウム137、鉛210,ラジウム226、ラジウム228、トリウム228、プルトニウム239と240、総トリウム、総ウラン)を測定し、その他のデータ(安定元素濃度や粒子径などの物理化学的情報)と共に、各放射性物質の濃度を左右する要因を解析しました。その結果、これら放射性物質の堆積物中の濃度は、@陸上土壌の流入量、A植物プランクトン粒子などの海洋起源粒子の流入量、B水質などに依存する環境条件の季節変化、C堆積物-海水間の生物的・物理化学的相互作用、によって左右されていることが明らかとなりました。本論文で示された知見は、再処理施設の本格稼働時に、同施設から放出される放射性物質が環境中の濃度水準に与える影響を正確に把握することに役立ちます。

図1. 六ヶ所村沿岸における堆積物試料の採取地点(図中のM1~M3及びO1~O12)

掲載論文

Yuhi Satoh, Shogo Imada, Yoshihito Ohtsuka. Factors controlling the distribution trend of radionuclides in sediment of the Pacific coast adjacent to Rokkasho, northeast Japan (2025)
https://doi.org/10.1016/j.jenvman.2025.126957



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