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2025年度
葉菜類のトリチウムの取り込みに関する論文が国際学術誌 Journal of Hazardous Materials に掲載されました
Journal of Hazardous Materials に当所の環境影響研究部の佐藤研究員、谷研究員、永井研究員、今田研究員、山上研究員の論文が掲載されました。論文の概要は以下の通りです。
「葉菜類における有機結合トリチウムの挙動を再現するために非光合成反応を考慮する必要性」
六ヶ所村に建設されている大型再処理施設が本格操業した際には、管理された量の各種の放射性物質が環境中に放出されます。その中で、トリチウムは主要な放射性核種の一つです。この核種について、経口摂取による被ばく量を把握するという観点から、葉菜などの農作物への移行を正確に把握しておく必要があります。
世界中の研究者が土壌や大気から農作物へのトリチウムの移行度合いを推定するためのコンピューターシミュレーションモデル(以下、モデルと記述)を開発しています。これらのモデルは、環境中からのトリチウムの移行度合いを植物中の有機物に結合して存在するトリチウム(以下、OBT)として計算し、実際の植物中OBT濃度が概ね再現可能です。一方で、これらの従来のモデルでは、植物中のOBT濃度の時間変化が激しい場合に、計算の再現性が低下することが報告されていました。
従来のモデルは計算の過程として主に光合成反応のみを考慮していますが、この場合、短期間(数時間スケール)の濃度変化が再現できないために、計算の再現性が低下すると考えられました。そこで本研究では、この光合成反応に加えて、数時間スケールに対応できる非光合成反応を考慮した新規モデルを開発しました。重水素を用いたコマツナの栽培実験により得られた数時間スケールの顕著な濃度変化を含む実測データに対して新規モデルによる計算値がほぼ一致したことから、新規モデルの有効性を実証しました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
掲載論文
Yuhi Satoh, Takashi Tani, Masaru Nagai, Shogo Imada, Mutsumi Yamagami. Necessity of considering non-photosynthetic metabolism to reproduce the behavior of organically bound tritium in a leafy vegetable (2025)
https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2025.139518